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2020.02.03

エキスパートは必ずしもよい先生ではない

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インストラクターよりも、学習者同士の方がうまく教え合うことができる場合が多々あります。今日はその理由に関する記事を紹介します。

 

知識構造(スキーマ)

認知心理学では、心的知識構造のことをスキーマと呼んでいます。これは、長期記憶に知識を整理・保存するときに使う構造のことです。この構造は複数の情報で構成されており、特定の機能を備えるひとつのフレームワークにまとめられています。たとえば、一連の属性を持つものをひとつのカテゴリにするなどです(「スポーツカー」というカテゴリには、「速い」、「高価」、「小さい」、「ピカピカ」という属性があります)。

インストラクターより、学習者同士の方がうまく教え合うことができるのは、学習者同士の方が似通った知識構造(スキーマ)を持っているからだと考えられています。

 

エキスパートには初心者の気持ちがわからない

新しいスキルを学んだり、新たな情報を取得する人の知識構造は、エキスパートの知識構造に比べて不完全で整理されておらず、関連性があまり構成されていません。初心者に比べ、エキスパートのスキーマのほうが複雑で、関連性が適切に構成されています。 エキスパートが一般に問題解決に長けているのは、そのためです。

多くの場合、エキスパートには初心者の気持ちがわかりません。何かについて多くを知り、スキルが向上するほど、それを知らない人のことを想像することが難しくなります。 エキスパートが必ずしもよい先生でないのは、そのためです。

 

他人の頭の中身を知る方法

教室やオンラインチャットでは、学習者に尋ねれば、その既存知識を確認したり、学習者の物の見方を知ることができます。しかし、自己学習型のeラーニングコースではこれを行うことができないので、コース以外の部分でこれを行う方法を見つける必要があります。

分析や設計のプロセスで学習者の頭の中身を確認することができれば、後からやり直す必要がなくなります。ただし、学習後の会話を通じて、将来的なコースのためのヒントを得ることができます。

 

学習対象者の「心を読む」には、教える内容に関連して以下のことを行います。

  1. 学習内容に関連するタスクを職場で行う様子を観察する。
  2. 学習者と雑談する。
  3. 学習者にインタビューする。
  4. 回答が限定されないタイプの質問を使って調査する。
  5. コースの受講後にバーチャルチャットを行う機会を設ける。
  6. 反転学習を取り入れ、すべてのやり取りを双方向的に行う。

 

元の記事:

http://theelearningcoach.com/learning/schemas/

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