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2020.06.04

事実を示すだけでは人を説得できない理由

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私たちは通常、誰かの考えが間違っていると思えば、それが違うことを示す証拠を示そうとします。しかし、今日紹介する記事によれば、これが逆効果となる場合があるそうです。

 

人の誤った考えを正す効果的な方法の一つは、その人に直接証拠を伝えることです。 しかし、反証を示すことが逆効果となり、元々の誤った考えを強化してしまう場合があります。ある専門誌に発表された新たな論文には、その理由が示されています。

以前の研究では、考えを変えることが難しいのは、特定の問題について新たな視点が示されると、脳の中にある、現在の考え方を正当化する情報が不可避的に刺激されるからだと考えられていました。

しかし、この新たな研究によれば、人は、自分のアイデンティティを損なうような事実を示されると、怒ったり動揺し、その事実を受け入れることが困難となる場合があります。新たな情報が、受け手のアイデンティティの感覚を脅かすことにより、ネガティブな感情が引き起こされ、新たな情報の理解や消化が損なわれるのです。

たとえば、食品の安全性に対する意識が高く、遺伝子組み換え食品は危険だと信じている人に対し、その信念に反する事実を伝えると、遺伝子組み換え食品への反発がさらに強まりました。つまり、事実を伝えることが、逆にその事実に反発し、信じないことにつながったのです。

誰かを説得する場合、そのアイデンティティを脅かすような内容であれば、逆効果となるリスクが高いので、そのような状況は先送りしたほうがよいでしょう。その人の信念とは両立しない事実に、時間をかけて注意を向けさせる必要があります。

 

元の記事:

https://digest.bps.org.uk/2016/02/23/why-is-it-so-hard-to-persuade-people-with-facts/

 

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