ATD Japan Summit

2019.05.15

人は読んだことの10パーセントしか覚えていない?

Written by

「デールの経験の円錐」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、Edgar Daleという学者が1940年代に、円錐を使って学習の程度を示したものです。

「デールの経験の円錐」は、一般には、「人は自分が読んだことであれば10パーセント、聞いたことであれば20パーセント、見たことなら30パーセント、見て聞いたことなら50パーセント、言って書いたことの70パーセント、自分で行ったことなら90パーセントを記憶する」ことを示した図として知られています。また、このことを学習デザインに盛り込むべきであると考えられています。つまり学習効果を高めるには、ただ読むだけではなく実際に何かを行う必要があるということです。

これは一見、もっともらしく聞こえますが、アメリカの学習の専門家であるWill Thalheimer氏によれば、この数字には根拠がありません。Edgar Daleが経験の円錐について書いた本には数字はついておらず、後に尾ひれがついて広まった結果だそうです。またDale自身は、この円錐がインストラクションの規範として使われることは意図しておらず、単に当時の学習をモデル化して示すために円錐を使ったとのことです。

私のブログでも以前に、「70:20:10」という数字自体には根拠がないことを述べたブログを紹介しましたが、Thalheimer氏によれば、末尾が「0」や「5」などに丸められている数字は、特にその根拠を疑ってかかる必要があるようです。

それだけでなく、人間の学習に関する実際の研究によると、人は必ずしも、読んだことより聞いたことの方をよく覚えているわけではなく、見ただけのことよりも見て聞いたことの方をよく覚えているわけでもないそうです。覚える方法と記憶量の関係は、人によって異なるとのことです。

学習に関しては、このように誤った情報が流布している例が多々あります。この記事の著者であるThalheimer氏は、「The Debunker Club」というコミュニティを通じて、学習に関する誤った考え方を正す活動を行っています。

学習に関して広まっている誤った考え方についての記事:

70:20:10の法則はウソ?

世代間の異なりについてのステレオタイプ

スマイルシート(研修後のアンケート)の有効性

学習スタイルの神話(learning style myth)

マインドフルネスの副作用

「脳科学」、「神経科学」という宣伝には注意が必要

『「脳に基づく(brain-based …)」学習は、事実というより虚構である

脳科学に関するJohn Medina氏のことば

元の記事(この記事は最後まで読まないと、誤った知識を仕入れてしまうことになりますのでご注意ください):

https://www.td.org/insights/debunk-this-people-remember-10-percent-of-what-they-read

 

※このサイトに掲載されている一連の記事は、オリジナルの記事の全体または一部の概要を紹介するものです。正確なところはオリジナルの記事をご参照ください。