ATD Japan Summit

2019.04.02

学習の科学に関するATDレポート

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ATDではしばらく前からカンファレンスなどで「Science of Learning(学習の科学)」に関するトピックがとりあげられています。今日は、ATDが2017年に発表した学習の科学に関するホワイトペーパー『The Science of Learning: Key Strategies for Designing and Delivering Training』を紹介します(詳細なバージョンはレポートとして別途販売されています)。

科学の世界では、人がどのように学ぶかについて、長いこと研究が行われています。まだまだ解明されていない部分も多いようですが、研究によると、一般に信じられている教授法や勉強法の多くは、あまり効果がありません(たとえば、単にテキストを読み返す、ハイライトをつける)。

研究によると、類似のトピックを交互に学習したり、時間をおいて学習したり、思い出す練習をすると記憶の保持率が高まることが明らかになっています。しかし、実際のトレーニングでは、このような方法があまり活用されていません。

活用されていない理由としては、教える人たちが、自分が教えられたときの古い方法に従っていたり、実際の研修でそれを適用するのが難しかったり、タレント開発の専門家が学習の科学についてよく理解していないためであると考えられています。

ATDの調査によれば、アンケートの回答者814名のうち、学習の科学が話題にのぼるような組織に所属している人はたった304名(37パーセント)であり、実際に学習の科学を考慮したトレーニングが提供されているのは、18パーセント程度とのことです。

その一方、非常に効果的な学習プログラムを有している組織では、そうでない組織に比べ、学習の科学が活用されている割合が高くなっているそうです。

IPイノベーションズでも、数年前から全社的に学習の科学、行動科学などのトピックについて海外の資料を集め社内で勉強していますが、実際の適用はなかなか進んでいません。これはたとえば、時間をおいて繰り返し学習すれば長期的記憶につながるとわかってはいても、研修の期間は限られているので、その範囲を超えて復習の機会を設けることが難しいなどの理由によります。また、モバイル機器を使って社員のプライベートの時間にも繰り返し学習した方が効果的だとしても、勤務時間外に学習させることが問題となる場合もあります。

今日紹介したATDレポートは、2017年に発表された少し古いものです。その後、学習の科学は次第に浸透しており、今年(2019年)のATDカンファレンスのトピックをみると、さらに関心が深まり、時間をおいた学習のように認知心理学的なトピックだけでなく、認知バイアス、習慣化、行動変容といった、人間の行動に関するさらに広い範囲のトピックも次第に数が増えてきているようです。

『The Science of Learning: Key Strategies for Designing and Delivering Training』:
https://www.td.org/research-reports/science-of-learning-report

 

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