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2020.05.21

脳に関する3つの神話

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人間の脳は、歴史的にもさまざまに誤解されてきました。最近では、脳に関する研究が進み、これまでの考え方を覆すような成果がでていますが、最新の研究で誤りであることが分かっている場合であっても、そのような誤解はなかなかなくなりません。今日は、感情(情動)に関する研究の第一人者であるLisa Feldman Barrett氏による、脳に関する誤った考え方に関する記事を紹介します。

 

神話1:コルチゾールというホルモンがストレスを生じさせる

コルチゾールの主な目的は、エネルギーが必要になったときに、それをすばやく供給することにあります。コルチゾールがストレスの原因なのではありません。一般に、ストレスを感じるなど、エネルギーを必要とする状況ではコルチゾールが急上昇しますが、ストレスを感じていてもコルチゾールの急上昇がみられない場合もあります。

 

神話2:恐怖の感情は扁桃体が作り出している

扁桃体は、恐怖の感情を司る部分であるという考え方が広まっていますが、これは本当ではありません。扁桃体のない人であっても、恐怖を経験することができます。

現在の科学では、扁桃体は脳が不安や曖昧性に対処することを支援していると考えられています。新たな状況や不慣れな状況にあるとき、扁桃体は、感覚や戦闘など、生き残り行動のための基本回路にその状況をリンクさせる支援をします。しかし恐怖は、脳の複数のネットワークが一緒に働くことによって作られる、もっと複雑な精神現象です。

 

神話3:脳は周囲の出来事に反応することにより活性化する

脳細胞が休眠状態になることはありません。私たちの脳は、周囲の状況に対応するため絶えず予測を行っており、脳全体がいつでも活動しています(この記事を参照)。「人は脳の10パーセントしか使っていない」という考えも誤りです。

 

上記はすべて、ストレス、恐怖などの心理状態が、特定の物質や場所に関連するという前提からきています。しかし最新の研究では、脳は独立した器官の集合体ではなく、無数のニューラルパターンを形成する複雑なネットワークであり、その相互作用により心的機能が生じているという考え方にシフトしています。

 

元の記事:

https://www.nbcnews.com/mach/science/three-myths-about-brain-deserve-die-n744956

 

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