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2019.10.24

エビングハウスの忘却曲線

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学習の仕事に携わっている人であれば、エビングハウスという名前を聞いたことがあると思います。今日はこのエビングハウスの功績についての記事を紹介します。

 

エビングハウスは、学習曲線、忘却曲線、分散効果など、人間の学習に関連する多くのことを発見した心理学者であり、その業績は今日でも有効です。エビングハウスが活躍していたのは100年以上前にさかのぼります。

 

学習曲線

学習曲線(何か新しいことを学ぶとき、はじめのうちはゆっくりとしか学ぶことができないけれども、習熟するにつれて学習のスピードが速くなり、やがては停滞する)を発見したのは、エビングハウスです。学習曲線という用語は、今日ではエビングハウスの名前を挙げることなく一般用語として使われていますが、この現象をはじめて特定したのはエビングハウスです。

 

忘却曲線

エビングハウスは、脳の仕組みを理解するために自分自身を使って実験していました。エビングハウスは、自分が一連の文字列を覚えている期間を調べ、その記憶の割合が時間とともに低下するという一貫性のあるパターンを発見しました。学習直後には100パーセント覚えていても、最初の数日間には急速に低下し、学習後30日程度で横ばいとなります。

エビングハウスの忘却曲線は、学習を定期的に強化しなければならないことを意味します。学んだ内容を忘れないようにするには、学習後の30日間が重要です。多くのトレーニングは一回きりで終了しますが、頻繁に復習し、忘却曲線と戦う必要があるのです。

 

分散効果

分散効果は、忘却曲線から自然に導き出される結論です。時間をおいて学習を分散させれば、忘却を抑えることができます。また、このようにすることで、学んだことを長期的に覚えていられる可能性も高まります。

マイクロラーニングを使う理由のひとつは、小さな学習の時間間隔をあけるためです。このようにすれば、一度にすべてを学ぶのではなく、コンテンツを短いチャンクに分けて、少しずつマスターすることができます。

 

初頭効果(primacy effect)、新近効果(recency effect)

これは、人は最初と最後の項目をよく覚えている傾向があるということです。この効果は神経科学でも実証されており、人の注意が最初に喚起されたときや、脳が情報を長期記憶にエンコードするときに、電気的刺激が相対的に強くなることが発見されています。

だから学習するときには、始めと最後だけではなく「中ほど」にある事柄がおろそかにならないよう配慮する必要があります。逆に、最初と最後に重要なポイントを持ってくるという方法も考えられます。

 

元の記事:

https://www.td.org/insights/dont-forget-the-ebbinghaus-forgetting-curve

 

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