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2020.08.12

プログラミングに必要とされる適性とは?

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最近では、早期から子供にプログラミングを学習させるべきだという議論が盛んになっています。しかし、学習に関する研究者であるPaul Kirschner氏によれば、小さい頃からプログラミングを学んだ方がいいかどうかについては、まだ十分な研究が行われていません。一方、プログラミングの学習に必要とされる適性については研究されているそうです。

 

プログラミングには言語能力が必要

私たちは通常、プログラミングには数学的能力が必要だと考えています。しかし、プログラミングの学習に関する研究によれば、プログラミングを学ぶ能力には、数学や工学よりも、第二外国語の会話やライティングを学ぶ能力の方が大きく影響します。これはおそらく、プログラムが「言語」と呼ばれていることと関係しています。自然言語と同様、プログラミング言語にも、独自の単語やシンボルがあり、独自の文法や構文があります。

ある研究では、プログラミングを学ぶ人の多くは、構文でつまずくことが示されています。これは、プログラミングに関してあまり成績のよくない学習者だけでなく、プログラミングが得意な学習者に関してもみられる傾向です。

また別の研究では、第二外国語を学ぶ適性があることが、プログラミング(この場合はPython)の学習速度を予測する最大の要因であることが示されました。一般的な認知能力や数学のスキルも学習速度に関係していますが、言語能力よりも関連性が低くなっていました。この研究では、学習者の言語能力、流動的な推論能力、作業記憶、休眠状態にある脳の活動といったことすべてが、数学よりもPythonの学習能力を強力に予測させる要因であることが示されていました。

このようであるのは、プログラミングコードを書くことは、そのプログラミング言語の語彙と文法を理解し、それらを使ってアイデアや意図を伝える方法を理解するという点で、第二外国語を学ぶことと似ているためであると考えられています。

 

プログラミングの方法を学ぶことが、第二外国語を学ぶ方法と類似していること、および数学のスキルは私たちが思っているほどプログラミングにとって重要ではないことに関するもっと多くのエビデンスが得られれば、プログラミング学習に関して、エビデンス情報に基づく、完全に異なるアプローチがとられることになり、効果的かつ効率的に、楽しくプログラミングを学べるようになることでしょう。

しかし、それを若いうちから学ぶことが役立つかどうかは、まだわかっていません

 

 

元の記事:

https://3starlearningexperiences.wordpress.com/2020/05/19/do-you-speak-python-coding-as-a-second-language/

 

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