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2020.05.22

モチベーションデザインに役立つモデル

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素晴らしいコンテンツを用意したとしても、学習者は必ずしも興味を持ちません。それを学ぶ意義を感じなかったり、学んで変化することに抵抗を感じれば、積極的に学習に取り組みません。

今日はこのような場合に学習者のモチベーションを高める方法として役立つモデルについて解説している記事を紹介します。

 

ARCSモデル

アメリカの教育心理学者であるJohn Kellerは1979年に、インストラクションデザインの世界にARCSモデルをもたらしました。Kellerによれば、既存のモチベーションモデルでは外部刺激が重視されすぎていますが、モチベーションを高めるには、学習者を動機付ける内部的要因に注目する必要があります。

 

ARCSモデルにおけるモチベーションの4つの要素

  • 注意:学習者を驚かせたり、質問や課題を与えるなどすれば、学習者の注意を引き付けることができます。また、学習内容をさまざまな方法で示したり、異なるモード(ビデオ、ゲーム、テキスト、ディスカッションなど)を使えば、学習者の注意を維持することができます。
  • 関連性:これには、学ぼうとする新たなスキルが、学習者にどのように役立つかをわかりやすい言葉で説明します。期待する行動をモデル化したり、そのスキルを実際に使う方法によっても関連性を認識させることができます。
  • 自信:これは、新たな知識やスキルを適用する能力があるという自信を学習者に持たせることです。これには、学習者が自信を失うことなく進むことができるようガイドやフィードバックを与えたり、スキャフォールディングを与えたりします。
  • 満足:これは、新たなスキルを適用したり、問題を解いたりすることなどで得られる達成感のことです。

 

何が学習者を動機づけるのか?

インストラクションデザインのコンサルタントであり、行動変容について研究しているJulie Dirksen氏によれば、何かを学ぼうとするモチベーションと、それを実際に適用しようとするモチベーションは異なります。学んだことの適用を促すには、以下の2つの方法が役立ちます。

  • 技術受容モデル(Technology Acceptance Model):これは、新たな情報や行動変容を受け入れるには、それが自分にとって役立ち(自分に関連がある)、簡単に行うことができる(自信がある)と認識する必要があるという考え方です。
  • イノベーション普及モデル(Diffusions of Innovation model):これは、新たな変化やイノベーションを受け入れるかどうかを判断するとき、人は、それがよりよいものであるか、より使いやすいか、自分の経験や価値観と一致するかを考えるものだ、というモデルのことです。

 

上記2つの方法やARCSモデルでは、新たなスキル、新たな行動の簡単さ/困難さの程度が、モチベーションの重要な要因となることが強調されています。Julie Dirksen氏によれば、このとき「自己効力感」、つまり自分にはできると学習者が信じていることが鍵となります。

 

元の記事:

http://www.learningsolutionsmag.com/articles/2523/arcs-model-aids-in-designing-for-motivation

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