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2020.07.28

人間の脳はコンピューターのように機能するのか?

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認知心理学では、脳での情報処理の仕組みがコンピューターの情報処理に例えて説明されます。たとえば、作業(短期)記憶、長期記憶のように、RAMやハードディスクをイメージする用語が使われます。今日は、この脳での情報処理の仕組みについて解説した記事を紹介します。

 

認知に関して最も研究が進んでいる分野のひとつは、「記憶」についてです。認知心理学では、脳が情報を処理、保存する方法をコンピューターになぞらえて説明しますが、実際には、人の脳はコンピューターと同様に情報を処理しているわけではありません。

最近の研究では、記憶同士のつながり、その記憶の持つ価値、記憶を想起する頻度などによって、記憶が変化すると考えられていますが、脳の機能についての理解はまだはじまったばかりであり、神経科学(neuro~)や脳に基づく(brain-based~)学習といわれているものは、実際には認知心理学の成果に基づいています。

 

認知心理学は通常、認知を個人の観点から捉えます。学習を情報処理的に捉える方法は、個人の学習について理解したり、よいインストラクションをデザインする上で役立ちます。

しかし人間の思考について考えるときには、単に個人レベルでの知覚、記憶、想起だけでなく、社会的、文化的側面も考慮する必要があります。

たとえば職場では、職場に適合する方法、タスクのやり方、職場の社会的規範など、周囲の人から学びます。多くのスキルは、社会的コンテキストの中で学ばれるのです。だから職場の学習をサポートするには、個人の学習と、組織の学習の相互関係を理解する必要があります。

効果的な学習をデザインするには、個人と社会両方の側面から学習を捉える必要があります。

 

元の記事:

https://www.td.org/insights/what-do-you-know-do-our-minds-work-like-computers

 

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