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2019.08.05

初心者向け、エキスパート向け学習デザインの違い

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以前に、初心者の持つ知識構造と、エキスパートの知識構造についての記事をそれぞれ紹介しました。今日は、初心者とエキスパートでは知識構造が異なるのでインストラクション方法も変える必要があることに関して、同じ著者による記事を紹介します。

 

研究によると、学ぶべきトピックに関してすでに知っていること(既存知識)は、人によって異なるので、そのことが学習効果に大きく影響します。初心者にとって役立つインストラクション方法が、より熟練した学習者にとっては学習の妨げになる場合があります(expertise reversal effect)

一般に、初心者に教える場合は、やり方をデモで示すなど、単にテキストで説明する以外の冗長な情報も含めます。このような付加的情報は、何かをはじめて学ぶ人にとっては役に立ちますが、その分野についてすでにある程度の知識を持っている人にとっては余計な情報であり、脳への負担となって学習を妨げる可能性があります。

このexpertise reversal effectを避けるには、以下のように、それぞれの学習者の知識やスキルのレベルに適合できるような学習デザインが必要です。

 

  • 余計な手順や詳細なガイドを学習者がスキップできるようにする。
  • 自律的に学習できるデザインモデルを使う
  • インフォーマルラーニングをサポートする
  • はじめに簡単な診断テストを行い、それぞれの学習者のレベルを特定する
  • 学習者自身が、自分の学習レベルを選べるようにする
  • 学習者がまずタスクを行い、その難しさを判断した上で、レベル分けする

 

初心者の場合は、より体系的な学習方法が必要とされ、スキルが構築するにつれ、学習者の自律性に任せた学習環境が役立つようになります。

 

元の記事:

http://theelearningcoach.com/learning/novice-versus-expert-design-strategies/

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