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2020.03.09

感情と学習:その1

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人間の合理的思考は、実は感情に基づいて機能しています(以前の記事を参照)。だから、学習の場合も、感情的側面を無視するわけにはいきません。

今日は、Connie Malamedさんによる感情と学習の関係についての解説を紹介します。

 

感情に訴えかけることが、人を動機付けたり、注意を喚起したり、記憶を促進する方法として重要であることは、しばらく前から知られています。しかし現状では、オンラインコースの大半は、学習者に感情的インパクトを与えるようなものではありません。

 

感情と認知

感情と認知は相反するという考えは、科学や哲学の長きにわたる伝統からきています。以前は、感情は知覚や身体感覚に関連するものであり、論理や精神を司る認知とは大きくかけはなれたものだと考えられていました。

現在では、fMRIなどの高度な画像化技術により、この考えが誤りであることが証明されています。感情と認知は動的に絡み合い、相互に作用するだけでなく、学習にはそれらの統合が必要とされます。

 

扁桃体

脳の扁桃体は、感情を司る主要な部分だと考えられています。扁桃体が活性化すると、情報の保持が促進されます。つまり、学習時に感情を刺激すれば、学習の記憶が強化されます。

人間の生き残りを考えてみれば、これは理に適っています。自分の命を守ったり、生活の質を高めるには、恐ろしい出来事や、何かよいことを得られた出来事を覚えておくことが重要だからです。

 

感情は警報システム

認知科学者は、感情とは、特定の刺激に対する反応として生じる、通常は短時間の強い経験である、と定義しています。感情は、人間の進化の遺産の一部であり、行動を準備するために、ものや出来事の意味をすばやく判断する警報システムということができます。

感情は、全般的に意識を高めるだけでなく、環境の変化への適応や、社会的コミュニケーションを促進します。

 

迅速的な判断

感情は、意思決定にかかわる認知プロセスを迂回すると考えられています。認知プロセスを経た意思決定では、特定の行為の代価や利点が評価・分析されますが、感情による意思決定は「経験則」に基づいて行われます。感情は、物事を迅速に評価し、少ない心的努力で意思決定を行えるようにします。広告を作る人たちが感情に訴えかける方法を好むのは、そのためです。

 

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感情とは?に関する一連の記事

元の記事:

http://theelearningcoach.com/learning/emotions-and-learning-part-i/

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