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2020.04.20

感情は生来のものではない

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感情(情動)の研究に関する第一人者であるLisa Feldman Barrett氏によれば、喜怒哀楽といった私たちの感情は、人間が生来備えるものではなく、成長と共に発達する文化的なものです。また、感情は、顔の表情などの身体的特徴と必ずしも一致するものではありません。

 

感情は、何かの刺激に対する特定の自動的反応であるかのように感じられます。過去には、感情は、動物的な反射の一種であり、合理的思考とは相反すると考えられていました。

しかし、このような考え方が真実ではないことを示す科学的エビデンスが多数存在します。研究では、一つの感情に対して一貫して対応する身体的特徴は明らかにされていません。

たとえば、怒りを感じているからといって、必ずしも血圧が上がるわけではありません。うれしいからと言って、必ずしも笑顔になるとは限りません。その反応は多様です。

また、最近の研究では、感情は普遍的なものではなく、文化によって異なることが明らかになっています。感情は、何かによって引き起こされるものではなく、体の物理的特性、環境、文化などの組み合わせの結果、生じるものです。

感情に対する伝統的な見方は、知らずのうちに私たちの生活に影響を与えており、それが問題となる場合があります。たとえば、女性は感情的だという伝統的な見方を信じている医師は、本当は心臓の病気を抱えている女性を単なる心配性だと診断してしまう可能性があります。実際のところ、このような診断のせいで、65才以上の女性は、男性よりも心臓発作で死ぬ確率が高くなっているそうです。

感情や脳に関する理解は、現在、革命の最中にあり、これまでの私たちの考え方を根本的に見直す必要が生じる可能性があります。

 

元の記事:

https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2017/mar/26/why-our-emotions-are-cultural-not-hardwired-at-birth

 

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