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2020.05.19

社会心理学者のチャルディーニ氏が推奨する新型コロナ感染拡大防止策とは? その2

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これは、『影響力の武器』などの著作で知られる社会心理学者のロバート・B・チャルディーニ氏が推奨する新型コロナ感染拡大防止策の続きです(その1)。

 

チャルディーニ氏は、今回のコロナ騒ぎでイタリア政府から要請を受けて対策を考えたそうです。イタリア政府は、人々が隔離政策に従い、ソーシャルディスタンスをとるようにする方法を求めていました。これには、社会的非難(social disapproval)が有効です。社会的非難は人間の行動に非常に大きな影響を与えます。

 

公共の場所でのゴミのポイ捨てを減らすためにチャルディーニ氏らが行った実験では多くの方法を試行しましたが、一つの場合を除き、他の多くの方法はすべてうまくいきませんでした。

この実験は、駐車場に停めてある車に「チラシ」を貼り付けておき、車に戻ってきたドライバーがそれをどうするかを観察するものです。通常の状態では、33パーセントの人が、駐車場を出る前にそのチラシをポイ捨てしました。しかし、車を停める前に、誰かがゴミ箱にごみを捨てている様子を目撃した人の場合は、17パーセントしかチラシをポイ捨てしませんでした。さらに、車を停める前に、「うんざりした様子で(つまり社会的非難を示している)地面からゴミを拾い上げてゴミ箱に捨てる人」を見た場合では、なんと誰もそのチラシをポイ捨てしませんでした

また、別の学者が行った実験では、電車の「キセル」を減らすために、キセルをする人の呼び名を一般から募集し(”Cheater”)、その呼び方を使って大々的なキセル防止キャンペーンを行ったところ、大きな効果がありました。

チャルディーニ氏によれば、コロナ感染防止策に従わない人に対しても、そのような人に対する適切な呼び方を考えて社会的に非難することにより、望ましくない行動を減らせるとのことです。

 

 

元の記事:

https://www.influenceatwork.com/inside-influence-report/advice-for-reducing-undesirable-covid-19-behaviors/

 

 

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