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2019.06.25

学習科学の基礎:エキスパートになるには?(「一万時間ルール」のウソ)

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以前に「エキスパートとはどのようなものか」に関する記事を紹介しました。今日はその続きで、エキスパートになるにはどうすればいいかについての記事を紹介します。

 

エキスパートになるのに必要とされる時間

エキスパートの科学に関する第一人者であるAnders Ericssonによれば、エキスパートになるには、特定の種類の練習をたくさん行う必要があります。Malcolm Gladwellの著作『Outliers』には、エキスパートになるには一万時間の練習が必要とありますが(「一万時間ルール」)、Ericssonによると、厳密にはこの「一万時間ルール」は存在しません。エキスパートになるには多くの時間が必要とされることは確かですが、それに必要とされる時間は分野によって異なります

 

エキスパートになるのに必要とされるタイプの練習

Ericssonの研究によると、エキスパートになるには、「意識的練習(deliberate practice)」が必要です。意識的練習ではなく、単にいつもと同じやり方を繰り返すだけでは、多くの時間をかけて練習してもスキルを伸ばすことはできません。また、同じ方法を繰り返していると、やがてスキルが劣化することもあります。

この意識的練習には、以下のような側面があります。

 

  • 詳細に定義された明確なゴールがある
  • 適切なフィードバックが与えられる
  • コンフォートゾーンの外に出る
  • 無理をすることによって適応性を活用する
  • 難しい部分について十分に練習する
  • 自分で誤りをみつけて調整する方法を学ぶ(セルフモニタリング)

 

意識的練習のほかに必要とされる要因

Brooke Macnamaraらの研究によると、エキスパートになるには、意識的練習以外にも多数の要因が必要とされます。知能や特別な能力など、個人差も影響します。エキスパートになる方法については、まだ研究途上であるといえます。

 

元の記事:

https://www.td.org/insights/science-of-learning-101-what-kind-of-practice-makes-expert

https://www.td.org/insights/what-do-you-know-how-fast-can-we-achieve-expertise

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