コラム

日本IBM人財ソリューション株式会社代表取締役 片岡久氏
第4回 大きな転換をどう乗り切ったか

人財育成に関して先進的な取り組みをしている日本IBM人財ソリューション株式会社代表取締役の片岡久氏にお話を伺いました。(インタビュー2012年8月3日、敬称略)
これはその第4回になります。

第4回 大きな転換をどう乗り切ったか

変化へのチャレンジを打ち出す

浦山:IBMさんは100年の間に何度もいろんな変化を経験されてきていると思います。90年代には非常に大きな変化があった。その時は人材育成に関して見直しをされたのでしょうか?

片岡:大きな赤字を出した時でしたので人の入れ替えが必要でした。ハードウェアのビジネスからソフトウェアサービスに切り替えました。それまでハードを扱っていた人たちが辞めて、ソフトサービスをする人たちが入ってくる、そのように変わっていきました。一時30数万人だった社員が20万人くらいになりましたが、実態としてはそれまでの社員が10万人程度まで減り、新たに10万人位が入ってきた。それで20万になりました。人が全く変わってしまい、新しく入ってきたCEOであるルガースがどうやってIBMというもののDNAを作っていくのか、と考え、作り始めたのが「IBMコンピテンシー」。これはコンサルティング会社と一緒になって作りました。最初はトップ、だんだんマネジメント層に降ろしていき、IBMの社員がみんな目指すべき能力として定義しました。8年に一回くらい見直しており、一番最近のものは2010年に見直しました。

浦山:2年前ですね。

片岡:「IBM Global CEO Study」*1という報告書です。今後さらに複雑性が高まっていくと予測しづらい世の中になっていく。その中でCEOはどうしていくのか、そのような命題があった時代です。時代のニーズに合わせて、今のコンピテンシーができました。変化へのチャレンジを証明する。グローバルな考え方を示す。あるいは世の中に…。

浦山創造性をもたらす、とか?

片岡:そうです。創造性をもたらす、そういうことです。いろいろなことが起きますが、それは偶然に起きているのではない。何らかの原因があって、それが結果として起きている。その原因さえ追究できればそれに対するシステム思考。システム的なパースペクティブで…。

浦山全体的に捉えるということですね。

片岡:そうです。そんなことを奨励したい。「IBM Global CEO Study」では、さまざまなことを定義しています。九つあります。それを、例えば役員候補になっていく人たちの360度サーベイのベースとしていく、アセスメントで使ったり、あるいは人材育成のプログラムを入れ込んだり、といった形で使っていきます。

浦山:浦山:ありがとうございました。

*1「IBM Global CEO Study」
IBMが世界64カ国、1700人のCEOに事業課題や経営課題についてインタビューしてまとめた報告書。2004年から実施している。