コラム

ASTD ICE2012 セッション(田中美郷)

「TU305 PowerPoint Design for Webinars」
スピーカー:Rebecca Pike Pluth

魅力的なパワーポイント演出をするためのコツ

コンファレンスでは数多くのセッションが開催されていたが、8つのコンテント・トラックの中から『 Designing and Facilitating learning 』に関するセッションに的を絞って参加した。
私が参加したセッションでは、全体のキーワードである「イノベーション、モバイル・ラーニング」の視点を散りばめたセッションが多かったと感じた。印象に残ったセッションをいくつかご紹介しよう。

Webinarsとは、オンラインで実施されるセミナーのこと。これを実施する際のPowerPointのデザインのルールについて、クラスルームトレーニングとの違いや気を付けるべき点が紹介された。日本ではWebinarsはなかなか定着していないが、セッション参加者はWebinarsの経験があると手を挙げていたことも印象的だった。また、このセッションは内容だけでなく、進行方法にもいろいろな仕掛けが施されていた。例えば、問題の解答はゲームツールを使って、チーム対抗戦で行うという仕掛けがあり、会場は大いに盛り上がった。

Webinars 用 PPTデザインのポイントとしては
・イメージ、感情的な素材を入れる
・コース全体の流れがわかるスライドを入れる(今どこを説明しているのかわかるように)
・イントロダクションやアジェンダのスライドが必要
・バックグラウンドは暗めの色にする(目にやさしい)→白い背景は目が疲れるため
などが挙げられていた。

また、下図のように一部の部分を詳しく説明するときは詳細スライド全体のスライドだけではなく詳細部分を拡大したスライド、クラスルームでは口頭で済むような指示も支持用のスライドなども準備する必要があると説明があった。

クラスルームではトレーナーの身振り手振りを使って伝えられることもWebinars では不可能であるため、他のツールや方法を使って視覚的に確実な伝達をする必要がある重要さを理解した。そのツールのひとつであるPowerPointも、作成するコツやルールをつかめば実施するコースに合わせたスライドが素早く作成できるようになるだろう。

スライド作成の6つコツは以下となる。
Exploring 6 Insider PPT Principles
1.Keep design simple.
2.Keep in mind restraint. Need to know information goes in handouts.
 Nice to know is on the slide.
3.Best design goes unnoticed.
4.Being creative = solution thinking.
5.Ask “What’s the main point?” Why does it matter?
6.Be as visual as possible. Support the point quickly.

日ごろ目にする欧米人のプレゼンテーション資料は、文字が多く図解があまりないと感じていたが、Webinars用のPPTスライドは、視覚的に訴える手法が必要という点でいうと、ポイントは日本でも同じだと感じた。日本でもたくさんのハウツー本があるが作成のポイントは共通している。

 
「SU302 Brand New Jolts:Activities That Will Wake Up and Engage Your Participants」
スピーカー:Sivasailam Thiagarajan, Tracy Tagliati

ゲームを通してトレーニングに集中させる

参加者をグイグイと引き込んでいくパワーある魅力的なセッションだった。セッション内容は体験学習を様々なゲームを通して受講者にトレーニングに集中させる手法の紹介だった。
このセッションで一番すばらしかったのは、単純に体を動かす、クイズ、談笑をするというアイスブレイク的なレベルではなく、ゲームの結果がトレーニング内容の狙いにつながるという部分だ。

まとめると以下のようになる。
・ゲームはトレーニング内容に紐づく内容になっている(デザインされている)
・実際に体を動かしてゲームを実践する
・その結果から参加者の考えを引きだす
・研修の内容と比較して狙いにつなげる

ヒューマン系トレーニングでは多く取り入れられているワークショップ形式だと思うが、ICT(Information and Communication Technology=情報通信技術) トレーニングの中でも活用できるのではないかと思う。ICT分野のトレーニングで、トレーニングの狙いに合わせたゲームを考えていきたいと思う。


田中美郷(たなか・みさと)
株式会社IPイノベーションズ ラーニング・パフォーマンス事業部2部 部長
BAL com常務理事

総合AO機器メーカー、教育サービスのトレーナーを経て、営業、開発、インストラクションを束ねるプロダクトマネジャーとして、企業や社会人向け研修を担当。トレーナーとして、マイクロソフト社のMOT 2000 ExAminerからMOT2007まで約10年間携わり、CTT+の育成に着手している。CTT+、MCT、MOT Expert、MCP他多数の資格取得。