コラム

ASTD TechKnowledge2012 セッション(栗原良太)

「How to Combat Cognitive Overload」 Connie Malamed (Connie Malamed Consulting 社)

初心者と専門家の知識における整理のしかたの違いを取り上げたセッション。特に、短期記憶(Working Memory)から 長期記憶(Long-Term Memory)に変容するための理論の説明については、この情報過多の時代において、どのように整理していくかの参考になる。

ポイントとしては、次のような点があげられる。
・短期記憶から長期記憶への移行は概念化によって推進される。
・整理されない多大な情報は、貧弱な理解と学習の妨げを引き起こす。
・概念化により、理解しやすくなる。
・概念化を身につけると、短期記憶のキャパシティが広がり、より多くの情報を処理できるようになる。
・初心者の頭の中は、情報を扱いにくく、間違いを起こしやすい。また、引き出すまでに時間がかかる。専門家の頭の中は、情報を引き出しやすくなっている。

「Learning Personalization Systems」 Frank Nguyen(Emerging Technologies 社)

本セッションでは、American Express社の事例を通じて、学習者への学習コンテンツ提供のしくみを紹介していた。数が多くなったコンテンツ(教育)をどのように社員に提供していくかについての一つの解であった。一人一人に適切なコンテンツを提供するには、チャネルという考えがある。チャネルとは、コンテンツデリバリーの手段のことである。
チャネルを通じて、個人が業務に必要なコンテンツをアクセスしやすくするという考えである。

さらにその先には、どのようにそのチャネルを配信するかという部分での工夫がいる。
学習してもらうためには、いかに受講者の目にふれるかがポイントである。
メールで配信するのは効果的であるが、単なるテキストメールではなく、目に付きやすく、さらにコンテンツへのアクセスもすぐにできるようにしておくことが重要である。

栗原良太(くりはら・りょうた)

株式会社IPイノベーションズ ラーニングパフォーマンス事業部1部 部長ASTDグローバルネットワークジャパン会員

1969年東京生まれ
埼玉大学卒業。株式会社CSK勤務を経て、IPイノベーションズの設立に参加。以後、新人研修、ベンダー研修、研修運用BPO、コンテンツ制作、LMS導入等々、企画、営業、導入、運用等幅広く業務に対応。LMSに関する知識・見識は国内トップクラスを自負している。 座右の銘は「ケ・セラ・セラ」