コラム

ASTD TechKnowledge2012 セッション(田辺健彦)

「Learning Transfer From a Virtual World to the Real World」 Dr. Marty Rosenhack

「セカンドライフ」を使ったラーニング

シカゴの「Children’s Memorial Hospital」の移転に伴い、実施された「仮想空間」でのスタッフトレーニングの事例紹介である。

子供の健康と安全を担う病院での業務に求められる「安全で確実」な業務をこなすためには、施設の構造・備品の位置・業務プロセスを熟知し、あらゆる状況ですばやく的確に「すべきこと」をこなすスキルが必要だが、病院の移転に伴い、職員には新しい施設の構造・今までとは異なる備品の位置・業務プロセスなど、非常にたくさんの項目を、短い移転期間に学び、実践することが求められていた。そこで実施されたのが、3DCGで構成されたインターネット上の仮想世界「セカンドライフ」内に病院施設を再現し、その中で業務トレーニングを行う「仮想病院」でのラーニングである。

受講者は、アバター(自分の分身となるキャラクター)となって、仮想的に再現された病院施設の中で自由に動き回り、業務のシミュレーションを実施することができるしくみになっている。

楽しく学んで達成感を得る

あらかじめ決められたカリキュラムに沿って、ILT、eラーニングといったリアルのトレーニングと、与えられたミッションを「仮想病院」内で完遂するといったバーチャルなトレーニングを組み合わせて実施したことにより、今までの紙ベースのトレーニングと比較して、短期間で精度の高い成果が認められたなどの報告があった。楽しく簡単に学び、達成感を得るという「Gamification」の考え方との共通点について説明されていた。

「FR105 Getting Strategic About Social Leaning」 Aeron E. Silvers Community Manager

ソーシャルラーニングによる組織改善

このセッションでは、「ソーシャルラーニング」を適用するために効果的な戦略と継続的な知識共有サイクルを通じて、組織を改善する方法についての講義がなされた。

「ソーシャルラーニングを戦略的に構築する際のポイントは以下のように挙げられる。

田辺健彦(たなべ・たけひこ)

株式会社IPイノベーションズ ラーニングパフォーマンス事業部 シニアマネージャー ASTDグローバルネットワークジャパン 広報委員

1963年新潟生まれ
音楽・ゲーム制作を経てIT教育に携わり教育業界へと転身。日本におけるe-Learningの黎明期からエバンジェリストとしてさまざまなオンライントレーニングを提供。IPイノベーションズでは、「何でも屋」として奔走の日々を過ごしている。座右の銘は「日々是勉強」。