イギリスの学習のプロフェッショナルであるDonald Clark氏によれば、どのような学習体験であろうと、それを提供する人には学習についての科学的知識が必要です。
学習のプロフェッショナルと呼ばれる人たちはしばしば、学習理論についてあまり知りません。学習の世界では、まだ研究がすすんでいない方法を早まって採用してしまったり、一時的流行に流されたりした結果、学習効果を高めるどころか、学習を妨げるようなソリューションを世の中に広めてしまうことが多々あります。
学習に関する科学的研究は、学習のプロフェッショナルにとって役立つ以下のような情報を与えてくれます。
- 学習に関する「神話」が暴かれる
科学的研究について知っていれば、「学習スタイル」など、誤っていることが科学的研究によって示されている理論や方法を使わないですみます。Myers-Briggs、NLP、エモーショナルインテリジェンス、Gardnerの多重知性、Maslowの欲求階層、Daleの学習の円錐など、科学的研究では誤りであることが明らかになっても、今なお使われている方法が世の中には多数あります。
- 学習に関する実務の情報源となる
科学的研究に関する知識があれば、そのトレーニングに費用体効果があるのか、その学習方法は実際に記憶の保持を促進するのか、といった疑問に答えることができます。
- 学習ソリューション製品に関する情報源となる
ラーニングテクノロジーが普及しつつありますが、そのようなテクノロジーは必ずしも科学的研究に基づいて作られていません。科学的研究に関する知識があれば、適切な科学的原則に基づくテクノロジーであるかどうかを判断することができます。
- 利害関係者との交渉に役立つ
学習のプロフェッショナルでなくとも、誰もが自分の長年の経験に基づいて学習に対する意見を持っています。しかしそれは必ずしも正しくありません。科学的研究に関する知識があれば、自分の提案する方法について、利害関係者に説得力のある説明をすることができます。
- 学習者の動機づけに役立つ
学習者が、効果的だと思いこんでいる学習方法は、必ずしも正しくありません。学習のプロフェッショナルは、このようなときに科学的研究に基づくアドバイスを与えることができます。
科学は常に変化し、それまで正しいとされていたことが誤りであることが判明する場合もあるので、すべての科学的研究が確実であるということはできません。しかし他の科学分野と同様、学習の場合も、その時点で知ることのできる最良のエビデンスに基づいて仕事をしなければ、学習の仕事はプロフェッショナルな職業とはみなされません。
元の記事:
http://donaldclarkplanb.blogspot.com/2019/03/why-learning-professionals-managers.html
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