
合理的思考に感情をさしはさんではいけないと考える人がいます。しかし最近の研究では、合理的思考には感情の助けが必要とされることがわかっています。たとえば、感情をつかさどる脳の部分に損傷を受けた人は、合理的思考も困難であるそうです。
今日は、この「感情」に訴えかける学習(アフェクティブラーニング)とAIについての記事を紹介します。
学習には、論理的プロセスと感情プロセスの両方が必要とされますが、一般に感情の部分はないがしろにされがちです。しかし、さまざまな分野の研究から、感情プロセスと、論理/知識ベースのプロセスの間には驚くべき関連性があることが明らかになっています。
感情と学習に関する研究者たちによれば、将来的にはアフェクティブラーニングの研究が必要であり、「感情や学習と切り離された知識や論理的思考には、意味やモチベーションが欠けており、実生活でほとんど役に立たない」そうです。
2004年に数名の学者によって発表されたマニフェスト『Affective learning – a manifest』では、学習者の感情を検知し、適切に対応できる「インテリジェントなチュータリングシステム」の必要性が唱えられていました。テクノロジーの進歩により、今日では、このようなシステムが私たちの手の届くところにあります。
アフェクティブラーニングをサポートするAIテクノロジー
Future Today Instituteによる『2019 Tech Trends Report』には、さまざまな最新テクノロジーが紹介されています。たとえば以下のようなAIテクノロジーは、学習時の感情をサポートすることができます。
- 自然言語の認識、処理、理解、生成:概念の抽出、関連付け、書き手や話し手の感情分析などが可能になります。インテリジェントチューターと学習者のインタラクションも可能です。
- 感情認識:AIにより、人が何かを見たり、聞いたりしているときの感情を検知し、特定することができます。たとえば、eラーニングで学習者の感情を検知し、それに適切に対応することが可能になります。
- 強化学習:AIにより、学習者の解答などの情報だけでなく、リアルタイムに必要とされる情報をコンテキストに基づいて学習者に与えることができます。
元の記事:
http://www.learningsolutionsmag.com/articles/emerging-ai-tools-could-advance-affective-elearning
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『感情と学習:その3(感情を考慮した学習デザインのための10の方法)』
職場の学習とAI:
『AIのアルゴリズムやデータに含まれるバイアスがeラーニングに与える影響』
『AIではなくIA(知能増幅、intelligence augmentation)について考えよう』
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