
以前に、時間をおいて繰り返し学習する方法の効果を高めるには、「少し忘れたくらい」のタイミングで復習する必要があることについて書きました。今日の記事には、その根拠が書かれています。
心理学者のRobert BjorkとElizabeth Bjorkによれば、記憶には想起強度と保存強度が関連しています。
想起強度とは、情報を速やかに思い出せる程度のことであり、保存強度とは、その記憶の持続性のことです。
何かを学んだばかりのときは、その想起強度が強くなっています(つまりすぐ思い出せる)。
一方、長いこと記憶に保存されている(つまり保存強度が強い)けれども、すぐには思い出せない(想起強度が弱い)タイプの記憶もあります。保存強度が強い記憶であっても、必ずしも想起強度が強いとは限らないのです。
学習には、想起強度と保存強度の両方が強いことが望ましく、これを達成するには、長期にわたって何度も記憶にアクセスする(思い出す)必要があります。
しかし、想起強度が強い(すぐ思い出せる)ときに、想起(それを思い出す)練習を行っても、記憶の保存強度はそれほど高まりません。つまり、すぐ思い出せるうちにその情報をいくら思い出しても、記憶は強化されません。
一方、時間とともに想起強度が弱まる(すぐに思い出せなくなる)と、想起練習によって得られる保存強度の増加率が高くなります。つまり、いったん学んだ情報をすぐに思い出せなくなってからそれを思い出す練習をすれば、その情報が記憶に定着します。
直感には反していますが、忘れることこそが学習を促進する最良の方法なのです。
元の記事:
https://www.ambition.org.uk/blog/why-forget/
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