
これは、感情と学習に関するConnie Malamedさんによる記事の紹介の続きです(前回の記事)。
ここ数十年の研究によって、学習にかかわるプロセスの多くに感情が影響を与えていることが明らかになっています。感情は、知覚、意識、モチベーション、情報の記憶や取り出しに影響を与えます。ここでは、感情が、どのようにしてさまざまなプロセスに影響を与えるかの概要を紹介します。
知覚
感情は知覚に影響します。感情は、人が周囲の世界を捉える方法に影響し、偏りを生じさせます。
研究では、肯定的な感情を抱いている人は、そうでない人よりも学習体験に対して心が開かれており、より積極的な判断を行い、好意的なフィードバックを与えることが明らかになっています。
感情的偏りのある人は、自分の考えと正反対の証拠を示されても、その事実を受け入れようとしない場合があります。
モチベーション
感情は、モチベーションにも影響します。感情は、人を活気づけ、集中力や方向性を与えます。
研究によると、感情は、モチベーションに関連する認知プロセスに影響を与えます。たとえば、達成感や満足感など、肯定的感情を抱いている人は、そうでない人に比べ、特定のタスクに対してより多くの心的努力を傾ける傾向にあります。感情は、好奇心や創造性の基盤でもあり、こうしたことすべてが学習に対するモチベーション要因となります。
意識
人は、意識を通じて、注意を向ける対象を選択してそれに集中したり、環境からの雑音を無視したりします。
研究によると、意識とモチベーションには強い関連があり、人は、モチベーションが高まるようなことに注意を払います。特定のタスクに注意を向けるということは、そこから内的/外的見返りを得ようとすることを意味します。
学習者は、学習時に絶えずその体験を評価しています。たとえば、退屈した学習者は、不満やいらだちを覚え、それが注意を払うことの邪魔をします。学習体験への肯定的な反応は、学習者の注意を維持させます。
記憶
研究では、肯定的感情は、長期的な記憶とその想起に役立つだけでなく、作業記憶の処理も促進することがわかっています。感情を重視する学習体験は、それについての記憶を促進します。
たとえば、学習体験で効果的な視覚要素や感情に訴えかけるシナリオを使えば、記憶を促進することができます。
学習の妨げとなる感情
学習内容に直接関係のない感情は、学習の妨げとなります。学習内容と関係のない感情によって、認知リソースが使い果たされ、タスクに注意を向けたり、覚えたりすることができなくなります。
感情は、学習を促進することも、妨げることもあることに注意が必要です。
元の記事:
http://theelearningcoach.com/learning/emotions-and-learning-part-ii/
関連記事:
『感情に訴えかける学習(アフェクティブラーニング)とAI(合理的思考にも感情が必要)』
『感情と学習:その3(感情を考慮した学習デザインのための10の方法)』
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