
私たちは、脳の主な機能は考えることだと思いがちです。しかし、感情(情動:emotion)に関する研究の第一人者であるLisa Feldman Barrett氏によれば、そうではありません。
はるか昔、生物の間で捕食(他の生物を食べる)という新たな活動が生じ、進化的武装という競争がはじまったことにより、一部の生物の脳は生き残りのために発達してきました。
人間の脳もこうした活動の結果発達したものであり、脳の最も重要な仕事は考えることではありません。人間の脳の最も重要な仕事は、人間の生命を健康に維持しつづけるためのシステムを稼働させることです。脳は、意識的な思考を行っている最中にも、体を管理するため無意識下で活発に活動しています。
脳の活動の多くは、意識の外側で行われています。私たちの脳は、次の瞬間に自分に何が必要とされるかを絶えず予測し、そのための準備をしています。たとえば、朝、目がさめる前に、脳はその日の活動に必要とされるエネルギー量を予測し、コルチゾールというホルモンを血液に放出して、グルコースがすぐにエネルギーとして使えるようにしておきます。
脳は、予算配分するように体を調整しています。これは科学的にはアロスタシス(allostasis)と呼ばれており、脳は体にとっての必要が生じる前に、それを自動的に予想し、準備しているのです。
元の記事:
https://www.nytimes.com/2020/11/23/opinion/brain-neuroscience-stress.html
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