
以前に、人は何かのやり方やその重要性を知っているからといって、必ずしも行動を起こさないので、このような場合には、トレーニングではなく行動変容を促すための方策をとる必要があることに関するJulie Dirksen氏の記事を紹介しました(『行動変容におけるフィードバックの重要性とVRなどによる没入型体験の可能性』)。今日は、Julie Dirksen氏による行動変容に関するまた別の記事を紹介します。
従業員が新たな行動をとったり、望ましくない行動をやめたりといったように、企業や組織で行動変容が望まれる場合、しばしばトレーニングが行われます。しかし、トレーニングが必ずしもその解決策ではない場合があります。人は、何をすればいいか、どのようにすればいいかがわかっていても、必ずしもその行動をとりません。
行動が生じないことがトレーニングの問題ではない場合、以下のような問題であることが考えられます。
- 行動に対する明白なフィードバックが欠如している
- 行動する機会がない
- インセンティブが不適切
- モチベーションがない
- その行動を行わないことの結果を知らない、理解していない
- 求められた行動や、行動変容全般に対して、恐れや不安、不快感がある
行動変容を促すには、単にその重要性や知識を伝えるだけでなく、ロールプレイなどを行って、それを抵抗なく行えるような方法を示す必要があります。知識だけのアプローチでは不十分です。
また、不適切な行動が、インセンティブやモチベーションの問題である場合もあります。たとえば、データの入力量が評価されるような環境では、データを正確に入力することを促すことはできません。これはインセンティブの問題であり、このような場合、トレーニングを行うのではなく、評価システムそのものを見直す必要があります。
Julie Dirksen氏によれば、行動の問題がトレーニングによって解決できるかどうかを判断する際に、University College LondonのCOM-Bモデルが役立ちます。これは、能力、機会、モチベーション(Capability、Opportunity、Motivation)という3つの要素に注目し、それらを変化させることによって行動を促す方法を考えるためのモデルです。これについては、また別の機会に関連記事を紹介したいと思います。
元の記事:
関連記事:
『VRは行動変容トレーニングに適した環境(COM-BモデルとVR)』
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