
ビジネスの世界では以前から、行動科学を使ってマーケティング活動や、製品・サービスのデザインが行われています。最近では、タレント開発の世界でも、行動科学から得られた知見を活用して行動変容を促す必要性が唱えられています。今日の記事では、行動科学に基づいて行動変容プログラムを作るためのステップが紹介されています。
行動科学とは
行動科学は、人の行動に関する体系的な研究であり、古くからある分野です。これは、心理学、人類学、社会学、経済学など多様な分野にまたがる研究です。
行動科学では、まずエビデンスを集め、仮説を立て、実験によって仮説をテストし、仮説の正しさを分析するという科学的方法がとられます。
行動変容への適用
行動変容のためのツールやテクニックの中には、科学的研究に基づいていないものがあります。たとえば、パーソナリティテストのように、広く使われてきたけれども、その有効性が確認されていないツールがあります。
環境、おかれた状況、無意識的・意識的モチベーション、社会的・感情的要因など、人間の行動には多くの要素が同時に影響を与えます。行動変容をデザインするときには、このような要因を考慮し、目的とする行動に影響を与える上で最も有効な方法を検討します。
ガイドライン
- 期待される行動を定義し、どのような行動を変化させたいのかを明確かつ詳細にする
これには、COM-B(‘capability’, ‘opportunity’, ‘motivation’ , ‘behaviour’) モデルが頻繁に使われています。このモデルは、「行動が生じるには、それを行う能力、機会、モチベーションが必要」という考えに基づいています。
- 行動に影響を与える要因の優先度をつける
行動に影響する要因とその関連性を理解する必要があります。これには、行動の根底に有るメカニズムや、行動が生じるコンテキストを説明する行動モデルや理論の理解が必要とされます。
- 行動変容のための方法を決める
行動変容のための方法には、さまざまなものがあります。たとえば、コミュニケーション向上のためのコーチングでは、行動をモニタリングしたり、フィードバックを与えたり、望ましい行動を促すためのプロンプトを与えるなどのテクニックが使われます。
- プログラムをデザインする方法を決める
最も効果的だと思われるアイデアを優先させ、費用、必要期間、リスクなどの基準に従って判断します。
- プログラムをテスト・評価する
コントロールグループを使ってパイロットテストを行います。このようにすれば、長期的には時間とお金の節約になります。
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