
最近では、職場の学習の世界でも、脳科学や神経科学の成果をタレント開発に活用することについて多くが語られるようになっています。しかし、「脳科学」、「神経科学」に基づく学習であると宣伝されている方法の多くは、実際には「認知科学」の成果によるものです。
今日紹介するブログでは、「脳科学」、「神経科学」と成人学習の関連性が解説されています。
認知科学では、人間やその他の生物が学習や問題解決を行うときの心理やそのプロセスが扱われます。一方、神経科学では、解剖学的レベルで、ニューロンなどの神経システムの仕組みが研究されます。
De Bruyckere、Kirschner、Hulshofという3人の学者による著書『Urban Myths About Learning and Education』によると、「今のところ、脳についてはそれほど理解が進んでいない」、「もっと重要なのは、研究によって明らかになっていることを一連の具体的な行動に一般化できないのは言うまでもなく、そのような行動に影響を与える方法を考案するは難しいということである」とのことです。
つまり、脳科学の研究は進歩しつつありますが、それを一般化して学習に適用できるほどの理解はまだ進んでいないのです。現在、科学的学習方法といわれていることのほとんどは、主に認知科学の成果によるものです。
脳科学、神経科学という言葉が使われるのは、「もっともらしく見せかけるための方便」だという専門家もいます。認知科学は心理学と密接な関係がありますが、心理学は科学的ではないと考える人もいるので、信憑性を高めるために「脳」、「神経」という言葉が使われている場合もあるでしょう。
だから「脳」、「神経」を謳っている教育を目にしたら、それが認知科学に基づくものなのか、インチキなのかを疑ってみる必要があります。
元の記事:
https://www.td.org/insights/what-do-you-know-about-brain-science-and-adult-learning
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