
私たちの思考や行動の大部分は自動化され、意識されていません。だから、いったん習得した思考方式や行動を変えることは非常に困難です。今日は、このことが学習に与える影響を解説した記事を紹介します。
思考や行動が自動化されている理由
研究によれば、私たちの思考や行動のうち、意識されているのはたった30パーセントであり、それ以外は無意識に行われています。その理由は、無意識化されることにより、作業記憶の限られたリソース(一度に覚えられる情報要素の数や記憶時間が限られている)を、他の思考や行動のために使うことができるようになるからです。もしすべてのことを作業記憶で意識的に行わなければならないとしたら、作業記憶がすぐに認知的過負荷状態に陥ってしまいます。
その一方、思考や行動がいったん自動化、無意識化されてしまうと、それを変えることが非常に困難になります。
無意識化、自動化されていることの意味合い
- 無意識の信念やバイアス:私たちは皆、無意識の信念やバイアスを持っており、それが知らずのうちに、物事の見方や意思決定の方法に大きな影響を与えます。
- 誤解:人は、自分がすでに知っていることに基づいて新たな知識を取り入れます。だから、誤った知識を持っていると、新たなことを適切に学ぶことができません。しかしそのような知識は自動化、無意識化されているので、変えることが非常に困難であり、よって学習も困難となります。
- スキルやタスクの分析:何かに熟練した人(エキスパート)は、人にそれを教えるときに、しばしば説明を省略してしまいます。それは、その思考や行動が高度に自動化されており、自分のしていることや思考のプロセスを意識化することができないからです。エキスパートの思考プロセスを抽出し、インストラクションに役立てる方法として、Cognitive Task Analysis(CTA)という方法があります。
元の記事:
https://elearningindustry.com/non-conscious-knowledge-aspects-learning-performance
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