
以前に紹介した記事によれば、ラーニングエクスペリエンス(学習体験)デザインという言葉は、これまでにもこのブログでいくつか記事を紹介しているConnie Malamedさんが考えたものだそうです。今日は、そのConnie Malamedさんによる、学習体験デザインのためのデザイン思考についての記事を紹介します。
従来のインストラクションデザインは、分析的なタイプの思考であるシステム思考に基づいていますが、学習の仕事にはクリエイティビティも必要とされるので、システム思考とは別のアプローチも必要です。これにはデザイン思考のモデルが役立ちます。
デザイン思考は、ユーザーとその課題や問題を深く理解し、クリエイティブで効果的なソリューションを生み出すことを可能にするアプローチです。プロトタイピングやテスティングの方法に関してはアジャイルモデルに似ていますが、人間中心のソリューションが重視される点が異なります。
デザイン思考は、人間中心のこれからのソリューション
デザイン思考では、ユーザーに共感する人間中心のアプローチをとり、コンテンツではなくユーザーの課題や問題にフォーカスします。現行のモデルではうまくいかないと感じている人たちは、すでにそのテクニックを取り入れはじめています。
デザイン思考が重要となっているのは、学習をめぐる多くの問題が、トレーニングだけではカバーできないほど複雑かつ広範囲となっているからです。たとえば、フォーマルトレーニングではなく実践コミュニティが必要だったり、ユーザーインターフェイスを見直したり、パフォーマンスサポートを提供する必要があります。組織のプロセスを変えたり、インタラクティブなトレーニングを行う必要もあります。
デザイン思考のプロセス
- 共感する(empathize)
これは、単にユーザーを分析することではなく、ユーザーの感情を体験し、その課題を理解することを意味します。ユーザーのニーズを発見し、その世界を探索するのです。
その方法としては、フィールド調査、インタビュー、フォーカスグループによる調査などがあります。
- 問題を定義する(define problem)
デザイン思考では、調査を通じてユーザーの課題を理解することに基づいて、問題を定義します。問題を正しく定義しなければ、それに対するソリューションを考えることはできません。
- アイデアを創出する(ideate)
アイデアを考え出すことは、デザイン思考の重要なステップです。ここでは、調査を通じて定義された問題に対するソリューションを考えます。アイデアが多ければ多いほど、よいソリューションを考えられる可能性も高まります。その方法としては、付箋を使ったブレーンストーミング、スケッチ、動作動詞(action verbs)のリスト、マインドマップなどがあります。
- プロトタイプを作る(prototype)
プロトタイプとして暫定的なモデルを作り、実際の調査を行います。その方法としては、スケッチ、モックアップ、小規模な実装などがあります。
- テストする(test)
実際に何が機能するかを確認し、フィードバックを得て、プロトタイプを洗練させます(またはそれを捨てます)。デザイン思考は、多くのテストと修正を繰り返すインタラクティブなプロセスです。
デザイン思考は万能薬ではありませんが、クリエイティビティが必要とされるときに役立つモデルのひとつです。
元の記事:
http://theelearningcoach.com/elearning_design/design-thinking-for-instructional-design/
関連記事:
※このサイトに掲載されている一連の記事は、オリジナルの記事の全体または一部の概要を紹介するものです。正確なところはオリジナルの記事をご参照ください。