
以前に「感情知性(エモーショナルインテリジェンス)」が流行りましたが、これは他人の感情を正確に検知することが可能だという前提に立った考え方です。しかし、感情(情動:emotion)に関する研究の第一人者であるLisa Feldman Barrett氏によれば、この前提は正しくありません。
最近の研究では、顔の表情や体の反応は、特定の感情と一貫して対応するものではないことが明らかになっています。たとえば幸せを感じているからといって、必ずしも顔にほほえみがうかぶとはかぎらないのです。
人の顔に電極を取り付けて筋肉の動きを記録すると、その人が特定の感情を抱いているときであっても、筋肉がさまざまな動きをとることが多くの研究で確認されています。
体に関しても、特定の感情に対する心拍数、血圧、発汗などの様子が異なることが多くの研究で分かっています。
脳の場合も、特定の感情に対する脳の動きのパターンは、状況によって異なります。
つまり、人の感情を検知する場合、顔や体自体からそれを知ることはできないのです。人は、状況に従って他人の表情や動きから感情を読み取ろうとしますが、これはあくまで推測であり、正確に検知できるわけではありません。
感情知性(エモーショナルインテリジェンス)を学ぶには、感情に対する身体の反応にバリエーションがあることを知った上で、状況に従ってそれを理解できるようになるトレーニングが必要です。
元の記事:
http://nautil.us/issue/51/limits/emotional-intelligence-needs-a-rewrite
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