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2025.04.04

IPIニュースレターvol.20: Googleによる将来有望なAIチューターとは?

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このニュースレターでもご紹介しているように、このところ生成AIを活用した学習方法についての動きが盛んであり、それぞれに効果がみられるようで目を離すことができません。

今日は、GoogleのAIチューターLearnLMを紹介します。GoogleのLearnLM自体は2024年のGoogle I/Oで発表されたものであり、新しいものではありませんが、その発表以降、以下のようにその効果を認める多くの記事がみられるようです。

 

GoogleのLearnLMとは?

GoogleのLearnLMは、学習科学の原則に基づいて設計され、教育分野に特化したAIモデルであり、Geminiを基盤としています。学習科学の原則に従うという点においては、GPT-4o、Claude 3.5、Gemini 1.5を上回る性能を示しているとのことです。通常、自社製品の能力は誇大表示されがちですが、この記事の著者によれば、実際に使用してみて、性能に関するGoogle側の主張に納得させられたとのことです。

 

Google LearnLMの特長

Googleによれば、LearnLMは、学習科学の原則に基づいて設計されており、学習者の関与を促したり、個々の学習者の習熟レベルに合わせたアダプティブな学習を提供することを目的としており(https://ai.google.dev/gemini-api/docs/learnlm)、以下のような特長があります。

 

  • アクティブな学習の促進:練習と適時のフィードバックを通じて、学習者が積極的に学ぶことを促します。
  • 認知負荷の管理:学習対象を適切に構造化し、複数の形式で示すことにより、学習者の認知負荷を軽減します。
  • アダプティブラーニング:学習目標やニーズに合わせて動的に内容を調整し、関連性の高いコンテンツを示します。
  • 好奇心の刺激:学習への興味を引き出し、学習者のモチベーションを高めます。
  • メタ認知を深める:学習者が自らの進捗を計画・モニタリングし、振り返りを支援します。

 

Google LearnLMによる思考の促進

 

LearnLMに関するGoogleのレポートによれば、このLearnLMは、情報伝達を中心とする典型的な生成AIとの対話とは異なり、単なる情報提示ではなく学習を促進するための発見プロセスを重視しており、アクティブ・ラーニングやソクラテス式問答法など、思考を深めるための教育方法を選択することも可能とのことです。

たとえばアリゾナ州立大学に導入されたLearnLMは、学生や教師からのフィードバックに基づいて微調整が行われ、高度な学位を有する数百人もの教育専門家によってその効果が評価されました。LearnLMは、複雑なトピックを教えるときに、直接的な回答を与えるのではなく、誘導的な質問を行い、それぞれの学習者に応じたアダプティブな対応をするとのことです(参考記事)。

 

GoogleのLearnLMの使用方法

GoogleのLearnLMは実験的なAIモデルであり、Google AI Studioで無料利用できるとのことです(使用量の制限あり)。将来的には、有用なツールとして教育現場で活用される可能性があります。

 

 

LearnLMが組み込まれているアプリも

このLearnLMは、パイロットプログラムの一環として、Google ClassroomやYouTubeなどの既存のGoogleアプリに統合されています。たとえば、Androidの「Circle to Search」機能を使って数学や物理の問題をハイライトすると、LearnLMが問題解決を支援したり、YouTubeで講義動画の視聴中に質問すると、解説してくれます(参考)。また、LearnLMは、評価基準の追加、授業計画の立案、シラバスの作成など教師に役立つ機能も備えています。Google Classroomでは、教師が新しいアイデアや活動を見つけ、授業内容を生徒のニーズに合わせて調整するのを支援するために、LearnLMが活用されているとのことです(参考)。