
バーチャルリアリティ(VR)は、まだその使用が模索されはじめたばかりの発展中のテクノロジーです。以前の記事(『行動変容におけるフィードバックの重要性とVRなどによる没入型体験の可能性』)にもあったように、VRは行動変容が必要とされる場面で役立ちます。今日は、このVRと行動変容についての記事を紹介します。
COM-Bモデル(行動変容を考えるためのツール)
University College Londonが開発したCOM-Bモデルは、能力、機会、モチベーション(Capability、Opportunity、Motivation)という3つの要素とそれらが行動(Behavior)に与えるインパクトに注目する診断モデルであり、行動変容を促す方法を考えるときに役立ちます。行動が変化するには、最低でも以下の一つの要素が必要とされますが、VRやARには、このような要素が含まれています。
- 能力(Capability):特定の行動を行う身体的、心的能力(推論、分析などの認知スキル)
- 機会(Opportunity):特定の行動を可能にする要因(たとえば運転中にはテキストメッセージを送ることができない)。物理的環境だけでなく行動を促進/抑制する社会的・文化的要因も含まれる。
- モチベーション(Motivation):感情や必要性といった内発的要因、行動を促す外初的モチベーターが含まれる。
VRは能力(Capability)開発に役立つ
飛行機の運転や火災の消火などを実際に練習するには危険が伴います。しかしVRを使えば、怪我をする危険性なしに、一貫性のある練習機会を作り出すことができます。VRは、このような身体能力の開発に役立ちます。
また、顧客対応などのシミュレーションをVRによって体験すれば、必要とされる行動を繰り返し練習して習得することができます。VRは、このように心的能力を高めることにも役立ちます。
VRは機会(Opportunity)を作り出す
たとえば、オフィス環境をシミュレートするVRは、コーチングやフィードバックの方法を練習する社会的機会を提供します。手術や火災の消火など危険を伴う練習を行う場合、VRは、リアルな物理的機会を提供することにより、身体・心的能力を高める練習を可能にしまます。
VRはモチベーション(Motivation)を高める
たとえば、自分と異なる人種、性別の人となり、差別行動を直感的に体験させるようなVR環境は、実世界でそのような人たちに接する方法を変えるよう動機づけることを可能にします。
効果の持続性
没入型のバーチャル環境で直感的な体験をすることによって生じた行動変容は、他の学習方法による行動変容よりも、その効果や持続性が高いことがわかっています。ただし、まだ研究の数が少ないので、さらなる研究が待たれます。
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