
昨日は初心者の脳についてのブログを紹介しましたが、今日は同じ著者による「エキスパートの脳」についての解説です。エキスパートの知識構造は、初心者のそれとは異なります。
知識のネットワーク
エキスパートは、しっかりとした知識構造を持っています。これは、勉強や経験を通じて概念、原則、実際的知識の間の関連付けを行うことで構成されます。エキスパートは、単に関連性のない個別の知識を覚えるのではなく、それらを相互に関連付けることによって知識のネットワークを作り上げます。
知識が相互に関連付けられていると、想起キューが異なる場合でも、同じ情報に至る複数のパスがあるので、複数の方法で同じ情報を思い出すことができます。たとえば、車の整備のエキスパートに修理を依頼した場合、エンジンの音、口頭による説明、以前にあった同様の問題など、複数のパスから問題を特定します。相互に関連付けられた知識のネットワークがあれば、長期記憶から知識を思い出すことのできるチャンスが複数得られます。
適切に構成された意味のある構造
エキスパートは、体系化された知識のネットワークを持っているので、適切な方法で推論したり、結論を導きだしたり、解決策を見つけたりすることができます。これは、適切に整理・分類されたファイルキャビネットの方が、必要な書類を見つけやすいことと似ています。
効率的な問題解決
エキスパートは、長年の経験を通じ、物事の根底にあるパターンや相互関係、システムなどをすばやく捉えることができます。エキスパートの知識は多様なコンテキストや状況に適用できるように構成されているので、全体的な視点から考え、問題解決やトラブルシューティングを短時間で行うことができます。新たな問題に対処するときも、見当違いの方向にすすんで時間を無駄にすることがありません。
自分の認知プロセスに対する意識
エキスパートは、すぐれたメタ認知能力があるので、自分が学び、問題解決する様子を客観的にモニタリングすることができます。自分が何を行っているのかをモニタリングし、評価しながら、目前の必要性に応じてやり方を調整したり、新たな方法を試行します。
元の記事:
http://theelearningcoach.com/learning/the-experts-brain/
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