
Lisa Feldman Barrett氏は、感情(情動)に関する研究の第一人者であり、感情に関するこれまでの常識を覆すような、感情に対する新たな考え方を示した人です。今日紹介するのは、このBarrett氏が、「科学に関する最新のニュースで最も面白いと思うことは?それはなぜ重要なのか?」という質問に対して回答した記事です。
合理的思考と感情は相対するものであるという、これまでの考え方が覆されつつあります。
科学の世界では長いこと、脳は何らかの刺激によって活性化されたときにのみ覚醒し、それに反応していると考えられてきました。しかし実際には、脳は反応するのではなく、過去の経験に基づいて、次の瞬間に自分が何に遭遇し、どう行動すればいいのかを絶えず予測しています。すべてのニューロンは絶えず活性化しており、相互に刺激を与え合っています。
たとえば、私たちは、自分の周囲にある光や音などの意味を絶えず予測しており、何か異常があればそれに対応します。
脳は、単に外界からの刺激を待っているのではなく、適切に行動・知覚するために、複数の競合する予測を絶えず行いながら、適切な選択をするためのエビデンスを集めるために活発に活動しています。
脳は絶えず予測することにより、素早く反応できるのです。脳が何も予測しないのであれば、ボールを受けるなどの動作を素早く行うことはできません。また、外界からの刺激によって絶えず驚かされることになるはずです。
これまで思考、感覚、記憶といった心的現象は、脳の個別のプロセスとして扱われてきました。しかし、「予測する脳」という考え方により、こうした心的現象すべてをひとつのメカニズムとして捉えることが可能になります。
元の記事:
https://www.edge.org/response-detail/26707
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