
学習とは、知識を頭の中につめこむことだと思っている人もいます。
確かに学習とは、何らかの知識やスキルを長期記憶に定着させることではありますが、定着させるには頭の中に詰め込むのではなく、それを思い出す必要があります。思い出すことによって記憶が強化されるのです。
今日は、この思い出すこと(想起)について書かれたブログを紹介します。
想起(retrieval)とは、長期記憶から知識や情報を取り出すプロセスのことです。長期記憶には、想起(思い出す)対象となる知識や情報が入っており、想起キュー(関連する記憶を活性化するような出来事、質問など)をきっかけとして思い出すことが可能になります。
想起キューは、長期記憶にある情報を思い出す(取り出す)手段として重要です。何かを学んでも、適切な想起キューがなければ、それを実際に適用できるはずの場面に遭遇したとしても思い出すことができません。適切な想起キューを作るには、学習内容を実際に適用することになる状況にできるだけ近い環境で学びます。そのようにすれば、特定の状況など、実環境に対応した想起キューをきっかけとして学習内容を思い出すことができます。
人の記憶は、何かを思い出す(想起する)たびに変化し、再構成されます。想起が重要なのは、まさにこの再構成ゆえです。想起を繰り返すうちに、想起キューとそれに対応する情報との間のつながり具合が調整され、より適切な方法で思い出せるようになるのです。
想起による方法を使って職場の学習をデザインする場合、以下のような方法をとることができます。
- 効果的な学習方法を教える
多くの人が、単にテキストを繰り返し読むなどの方法をとっているので、思い出す(想起)ことによる学習が効果的であることを理解させます。
- 実際の業務に対応したシナリオを使って練習する
これにより、実環境に対応する想起キューが作られます。
- セルフチェックや練習をたくさん行う
学習内容を繰り返し思い出すような機会を与えます。
- グループディスカッション
研修などの学習イベントが終わったら、ディスカッションの機会を設け、重要な知識が繰り返し思い出されるようにします。
元の記事:
http://theelearningcoach.com/learning/retrieval-cues-and-learning/
関連記事:
『学習科学の研究者が教える効果的な学習方法:想起練習(retrieval practice)』
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