
数年前に、『Make It Stick』という効果的な学習方法に関する本がアメリカでベストセラーとなりました。海外の職場の学習の専門家の人たちの多くも、この本を推奨しています。今日紹介する記事は、その著者の一人である認知心理学者のHenry Roediger氏がATDのScience of Learningブログに寄稿したものです。
テストは学習に効果的
一般には、学習とは知識を脳に「入れる」ことであると考えられています。その一方、知識を脳に定着させるための効果的な方法は、いったん脳に入れた知識を「取り出す」、つまりそれを「思い出す」ことです。覚えた知識は、それを思い出したり、その知識を実際のコンテキストで使ったりすることで次第に定着していきます。
テストは通常、何かを知っていることを「検査」する手段と考えられがちです。しかし認知心理学者の間では、テストを行うことによって学んだことを「思い出す」ことは、学んだことを定着させるための有効な手段であることが知られており、これは「テスト効果(testing effect)」と呼ばれています。
時間をおいた練習
単純な繰り返しなど、あまりに安易な学習方法には効果がありません。学習には適度な困難さが必要です。
学習には望ましい困難が必要とされますが、これには練習の間をあけて、思い出すことが難しく感じられるようにします。困難なことに取り組むことにより、いったん学んだことが再び整理・統合されるので、重要なポイントをより意識できるようになり、後から思い出すための神経回路が強化されます。時間をおいた練習が、学習内容を長期的に定着させる方法として他の方法よりもはるかに優れていることは、数々の研究によって証明されています。
学習効果を高めるための5つのヒント
- 思い出す
- 時間をあけて練習する
- さまざまなタイプの練習を混ぜる
- 前に戻ったり、先に進めたりする
- 学習者がすでに知っていることに関連付けた説明をする
ちなみにこの本は、『使える脳の鍛え方』というタイトルで日本語にも翻訳されています。もちろんIPイノベーションズの本棚にもあります。
元の記事:
https://www.td.org/insights/make-it-stick
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