コラム

日本IBM人財ソリューション株式会社代表取締役 片岡久氏
第11回 組織が生き続けるためには何が必要か(1)

人財育成に関して先進的な取り組みをしている日本IBM人財ソリューション株式会社代表取締役の片岡久氏にお話を伺いました。(インタビュー2012年8月3日、敬称略)
これはその第11回になります。

第11回 組織が生き続けるためには何が必要か(1)

生きる=コミュニケーションする

浦山:生命体を研究すると、生き続けるために必要なことはやはりコミュニケーションだとわかります。そういうことを組織でやっていかないといけない。

片岡:そうですね。人類は進化している。精神的にですよ。例えば、この間高間さんがおっしゃっていましたけど、真言密教、真言っていうのは10段階くらいあるらしいですよ。空海の説で10段階くらい。その10段階目ではじめてわかるのです。王侯貴族は第二段階くらい。それが階段を上っていける。修行ばかりすると疲れてしまう。だから修行しないでもテクノロジーの進化に体を合わせようとする。そうすると寛容度が高まる。寛容性が高まるとか、みんな怒らなくなる。要するに適応していく。生命力と精神力を高めることによって人類が進化していく。でも今は逆ですよ。どちらかいうとイライラしている人が増えています。ただ、見ていると何でこの人こんなにすべてがパーフェクトなのだろう、と思えるような人もいる。外人でも日本人でも若者の中には、何でこんなにできるのか、と思えるような人が。加えてルックスがよかったりする。

浦山:すべてを持っている。

片岡:そんな人が増えてきているのを目の当たりにすると人類はひょっとしたら進化していくのではないかと思います。研修によってそれが実現するなら人間としてはやりがいがあります。

 

脳が本来の機能を発揮する時代になる

浦山:昔に比べると、世界的にみても戦争は減ってきています。私が宗教を通して考えたのは、人間はある程度悟ると死んでいく。人生はこうだったのか、と。みんな死んでいってまた新しい人が生まれてくる。そうするとまた欲が出ますよね。いろんな欲。でも、だんだん体が衰えてきて欲が実現できなくなったときにまた死んでしまう。たぶんずっと進歩しないのかな。でも戦争が減ってきていることから考えると人間は少し賢くなっているかもしれません。

片岡:例えば胎児の時ってそれこそ生命の進化をなぞるわけじゃないですか。エラがあって、エラ呼吸して。そうやって昔のものをちゃんと踏襲していくわけですよ。だから人類になってからのいろいろな経験もひょっとしたら個人個人に埋め込まれているのかもしれません。

 ほんとにやっちゃいかんことはやっちゃいかん。そういったことが無意識の中にはいっている。ひょっとしたらそれが進化ということかもしれない。あるいは、輪廻転生。一度落ちてそこから這い上がってグルグル回る。例えばシステムだとかあるいはIT、これが外部記憶としての役割を果たす。あるいは翻訳としての機能を果たす。脳がやらなくてはいけないことがどんどんシステムやIT化されていきます。そうするとどうなるか。おそらく脳は休むことができない器官だと思うから、考え始めるのではないかと思う。あるいは、働くために違うことを考え始めるのではないかと思うのです。

浦山違う能力を発揮するということですね。若い人はあまり覚えようとしません。すぐググって調べるので、「何でそんなに覚えなきゃいけないの?」とよく新人の人にも言われます。彼らは覚えない代わりにすぐ調べる。過重処理ができるのです。これをしながらあれをする、ということが普通に出来る。そこは昔の人とはちょっと違います。

片岡:そうですね。本当の意味でTHINKということに時間が使えるようになるのかもしれない。いずれにしても脳が果たす役割のかなりの部分をコンピューターがやることになると、「考える」、「予測する」「インサイト」、そういったことに使うようになるのかなっていう気もします。