コラム

日本IBM人財ソリューション株式会社代表取締役 片岡久氏
第7回 IBMが目指すこと

人財育成に関して先進的な取り組みをしている日本IBM人財ソリューション株式会社代表取締役の片岡久氏にお話を伺いました。(インタビュー2012年8月3日、敬称略)
これはその第7回になります。

第7回 IBMが目指すこと

専門性+コミュニケーションで「コネクション」

片岡:ディズニノ・ベッティ会長が、IBMがこれから目指す方向について語っています。それは3つの段階があります。新しいコンピューターの時代になるということです。最初が単なるタビュレーター、計算機です。セカンドジェネレーションがいわゆるプログラムができる、プログラマーのようなコンピューター。それは記憶させておけばその通りにちゃんと動く。3番目がクイズ王を負かすようなコンピューター。すぐ質問をされてこれがどういう分野の質問なのか、何を期待してこういう質問になっているのか、予測しないと、答えのジャンルを選べない。ですので、この質問ってこういうジャンルの質問だな、その中でこういうレベルだなと、と予測して、答えを出す。それを瞬時にやろうとしますから相当高度です。ある意味では学習するコンピューターのようなものになっていく。そこを目指そうとしている。そうなってくると、これもひょっとしたら浦山さんもなさっているかもませんが、レコグニション

浦山認識する。認知する

片岡:そう、認知する。この世界をコンピューターがすべて認知する、そんな野望を抱くわけです。今あそこが波立ってる、それは風力がいくつで、水圧がこうなって、そこに空気圧がこうあってとか、そんなデータが全て揃う。再現しようと思ったら瞬時に再現できてしまう。要するに世の中、世界は認知可能になる。そうなろうとすると大量のデータ、ビックデータ、それを瞬時に計算するだけの計算能力がついてきます。あるいはデータを集める集め方っていうのもセンシングですよね。それがいろいろな形でできるようになる。世の中をセンスすることができる。それをもとにインサイト、あるいはフォーサイトする。少し先を予測すると。それによってインテリジェンス、インテリジェントなスマートアパーメントになるのでは。

浦山:そういう方向に行こうとしたときにお客様とIBMさんの関係はどう変わっていくのでしょうか。

片岡:これについて、会長は、アップルが消費者としての個人に提供したものをIBMは企業にやっていく、と言っています。それは何かというと、タウンミーティングみたいなのがあってそこでみんなと話し合ったのですが、結局、「コネクション」になった。

 アップルはiTunesをベースにやり、新しい繋がり方を示しました。音源とそれを消費する人の間の繋がり方を新しくしました。iTunes、iPhoneを使って、繋がり方を変えていく、繋がり方をオープンする、自由にする、そしてそれを企業にも提供する。企業に提供するということは、すなわち、企業の外と中のコミュニケーション、そこが変わっていくということ。

 「IBM CEO Study」は「Leading Through Connections(つながり)による優位性の構築」を示唆しています。私達の仕事にもかぶるとことですが、これからのひとつの流れとみています。ビジネスでいうと、例えばキヤノンさんと共同開発のプロジェクトを作ったとします。それはキヤノンさんにとってかなり重要な開発。それを一緒に引き継ぐ、コネクトして一緒にやる。そこが従来と違ってきます。そのようにディープな関係を作っていくということ。それがビジネスとしてのコネクションです。

浦山専門力とコミュニケーション力でお客様とつながっていく。IBMさんもそこを重視していくということですね。

片岡:IBMはどう変わらなくてはいけないか。それが、コラボレーションということ。社員はみなひとりひとりそれぞれの専門家。その専門性はさらに追究しないといけないけれど、それだけではお客さまの望んでいるものにはならない。それをやるためにはコラボレーションが必要になる。そのコラボレーションもIBM社内だけではなくて、外のお客様とのコミュニケーションを通じて行う。それらの能力というのはやはりコミュニケーションの能力なのです。

 いくら専門性だけがあっても十分ではありません。対話ができる力、または相手を慮る力、そういったコミュニケーションのスキルっていうのは大変重要で、もっともっと磨いていかないといけない。そして、組織の中にあっても自主性があり、自発的な人間であること、オープンであり、人とつながれる人、専門性を持った上で人とコミュニケーションがとれることが大切な時代になっています。コネクション、コラボレーションとオープン、レスポンシビリティ、それらがキーワードではないでしょうか。

浦山:まさしく生命のセル。エンジニアみんなに聞かせたい。日本中のエンジニアに。