
VUCAの時代と言われて久しいものの、時代の変化や先行き不透明感はさらに激化し、ビジネス環境、市場、組織にとどまらず、私たち個人の生活にも影響を与えつつあります。
IPイノベーションズが携わる教育ビジネスにおいても、お客様のビジネスや組織のあり方の変化、テクノロジーの進化に伴い、学ぶべき内容やその学び方も大きく変化することが見込まれます。
IPイノベーションズでは、こうした時代の変化を日々追跡しており、先月からは、この激動の時代について皆様と共に考えるためニュースレターの配信を開始しました。スタッフと共に、私自身もトピックの選定に携わっています。
是非、このニュースレターをお読みいただき、ご感想などお寄せくだされば幸いに存じます。
■『 37 Years Ago, Steve Jobs Said the Best Managers Never Actually Want to Be Managers. Science Says He Was Right』(スティーブ・ジョブズは優れたマネージャーはマネージャーになりたい人ではないと37年前に語っていた。これは科学的にも正しい)
スティーブ・ジョブズもAppleの経営者としてはじめのうちは、「プロフェッショナル・マネージャー」の採用が必要と考えていたようですが、後に考えを改めたようです。
リーダーとして成功するのは、マネジメント経験が豊富だったりマネージャーになりたい人ではありません。マネジメント経験は少なくても、仕事を通じて何かを成し遂げたいという強い意志のある人のほうが、仕事を成功に導くことができます。人をマネジメントするスキルは後からでも学ぶことができます。
仕事のできるボスのほうが部下の仕事の満足度も高いという研究もあるそうです( Boss Competence and Worker Well-Being)
■『 GPTでプログラミングの未来を切り拓く!Promptエンジニアリングとは?』(Youtube)
先月のニュースレターにも書いたように、研究では、学習には個別指導が最も効果的であることがわかっています(ブルームの2シグマ問題)。
この動画では、Joichi Ito(伊藤 穰一)氏が、GPT4のプロンプトを使いGPT4をAI家庭教師として、自分のレベルに合わせたアダプティブな学習をするためのプロンプトをわかりやすく解説してくれています。
このプロンプトを使えば、学ぶトピックを指定するだけでなく、学習の難易度、学び方(言葉での説明、実践的 etc.)、形式(ディベートetc.)など学習のやり方も詳細に指定し、GPT4という家庭教師を相手にパーソナルかつインタラクティブに学習できるようです。またこのプロンプトに手を加えて自分の好みに合うよう調整することもできます。
このプロンプトは、GitHubに掲載されています( Mr. Ranedeer: Your personalized AI Tutor!)。このプロンプトはマークダウン記法を使って書かれているようですが、必ずしもこの方法を使う必要はありません。将来的には、こうしたプロンプトを指定するインターフェイスを備えた製品が登場し、より直感的な方法で学習環境を設定できるようになるはずです。
もちろんAIは誤った情報を生成することもあるので、学校や企業研修などフォーマルな学習の場面では教師によるサポートが必要になるでしょう。AIの発達に伴い、教師の役割は、講義を通じて知識を伝授することから、学習者が自ら学ぶことを支援する環境を用意し、それをサポート・促進するファシリテーターへとシフトしていくと思われます。
関連情報:
『 OpenAIのGPT-4を使った「AI家庭教師」が投げかける波紋…著名な無料オンライン学習「カーンアカデミー」がベータテスト中』(by Business Insider Japan)
AI家庭教師に関連して先月このニュースレターでも紹介したカーン・アカデミーについての記事
『 New Survey Finds AI is Replacing Tutors for Students』
98%の学生が、ChatGPTを家庭教師として使って勉強することにより成績が向上したと言っている。
■『 ATD Research:AI in Learning and Talent Development: Embracing Its Future Potential in the Workplace』(職場の学習と人材開発におけるAI使用の現状とポテンシャル)
ATD (Association for Talent Development)が、292人の人材開発のプロフェッショナルに対してグローバルに行った調査結果の概要(中国、日本、米国、その他):
- 全般に仕事でのAIの使用は少ないものの、カスタマーサービスとセールスではやや使用が多い(各25%、20%)
- 職場の学習と人材開発でAIを使用することの効果のトップは、学習のスピードが高まり学習の必要時間が短縮されたこと(41%)
- AIの使用を阻む要因としては予算不足(62%)、AIを導入するための知識不足(57%)、リソース不足(56%)
■『 AIが「答え」を教えてくれる時代に、わたしたちはどんな「学習経験」を積めばいいのか?』(by 中原淳氏)
社会貢献意識の高い人のほうが、充実感をもって仕事で活躍している
■『 いちいち命令しなくても、部下が上司の思い通りに動いてくれる「魔法の会話法」5つ』(byプレジデント誌)
自発性がないという非難は大抵の場合的外れであり、原因は職場の環境や上司・同僚の対応が原因
■『 「Web制作会社がなくなるってホント?」Web制作会社の現状と未来を14年間経営した筆者が検証してみた。』
「生き残るのは、敵と味方の情勢をよく知り、変化に最もうまく対応することができる者だ」
■日本におけるChatGPTの使用に関する記事(ChatGPTの認知度や利用度は下記調査時点から日々増えていると思いますが):
◇ 日本はChatGPTの使用者数では世界3位(by OpenAI)
◇ 日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)(by野村総合研究所)
◇ PwCコンサルティング、「生成AIに関する実態調査2023」
生成AIの認知度は半数に満たず / 認知層における活用意向は肯定的だが、ビジネスでの取り組みは進まず / 生成AIの技術的可能性に基づいた、具体的なユースケース創出が急務
◇ 日本でのChatGPTの業務利用はわずか7%、約半数は「知らない」。MM総研調べ