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2019.04.26

認知負荷(cognitive load)とは

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認知心理学では、コンピューターの情報処理の仕組みになぞらえて人間の認知活動が説明されます。ワーキングメモリ(working memory:作業記憶、作動記憶などとも言われる)では情報が意識的に処理され、長期記憶(long-term memory)には情報が保存されます(ワーキングメモリは、情報が短期的に処理されるので、短期記憶とも呼ばれます)。

人間の意識的認知活動の中心は、ワーキングメモリですが、その容量や情報の保持時間が限られていることが、学習をはじめ、人間のさまざまな認知活動のボトルネックとなっています。今日はこの認知負荷に関する記事を紹介します。

 

人間は、ワーキングメモリに一度に4~5個の情報しか保持することができず、そこに保持した情報は10秒程度で消えてしまいます。人間のワーキングメモリの容量は小さく、情報を保持できる時間も限られているのです。

これに対し、長期記憶の容量には限界がないと言われています。長期記憶には、スキーマと呼ばれる心的構造として情報が整理、体系化されて保存されています。ワーキングメモリと長期記憶は相互にやり取りし、長期記憶にある既存のスキーマ(自分がすでに知っていること)にワーキングメモリにある情報が統合されることによって、新たな情報が記憶されます。

ワーキングメモリは、記憶の容量や保持時間が限られているので、すぐに過負荷の状態になります。認知負荷とは、任意のタイミングにワーキングメモリにかかる心的活動の合計量のことをいいます。

学習をデザインする人は、認知負荷を考慮し、過度の負荷をかけすぎないようにする必要があります。つまり、一度にあまり多くの情報を与えないような配慮が必要です。その一方、人間は、ワーキングメモリに適度な負荷(germane cognitive load)がかかったときに最もよく学習することができます

ワーキングメモリにあった新たな情報が長期記憶に統合されれば、次回にその情報を思い出すときには長期記憶から取り出すことができるので、ワーキングメモリで意識的に処理する必要がなくなります。これによってワーキングメモリに余裕ができ、他の活動にそのリソースを向けることができるようになります。人間が次第に何かに習熟し、より多くのことができるようになるのは、このような認知の仕組みによるものです。

 

元の記事:

http://theelearningcoach.com/learning/what-is-cognitive-load/

 

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