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2020.08.27

デジタルネイティブ世代に適したトレーニングとは?

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若い世代の人たちは、テクノロジーと共に育ってきた「デジタルネイティブ」なので、このような人たちに対して行うトレーニングは、これまでとは別の方法で行うべきだという考え方があります。しかし研究よるとこれは必ずしも正しくありません。今日紹介するブログでは、その理由が解説されています。

 

「デジタルネイティブ」という言葉は、Marc Prenskyによって作られました。Prenskyをはじめとする一部の人たちは、常にテクノロジーを使い、デジタルデバイスで人と交流するなど、いつでも情報が手元にある環境で育ってきた世代には、教える方法を変える必要性を唱えています。

 

しかし研究によると、Prenskyらの主張をサポートするエビデンスはほとんどありません。「デジタルネイティブ」と呼べるような特定の性質を備える若い世代が存在するわけではなく、その特徴は国や地域によって異なります。

 

また、デジタルコンピテンシーがあることは、年齢ではなく社会経済的地位と関連していることも研究によって明らかにされています。デジタルデバイスを使って絶えず仲間と交流しているといっても、それは必ずしもソーシャルスキルの高さを意味しません。また、オンラインで情報を見つけることができても、必ずしもその信憑性を分析できるとは限りません。

 

学習スタイルの考え方(視覚優位、聴覚優位など、人にはそれぞれ得意な学習方法があるので、それに適した教え方を用意する必要があるという考え方)が誤りであることが研究で明らかになったように、特定の世代に対して特別な学習スタイルが必要とされる主張には意味がありません。よいトレーニングとは、学習者の年齢ではなく、タスクの必要性と、それを行う人の状態(既存知識など)を考慮して行われるものです。

 

すべての人は同様の「認知アーキテクチャー」(人の心や記憶が情報を処理、保持、適用する方法)を備えているので、学習の科学に基づく学習方法を使う必要があります。

 

元の記事:

https://www.td.org/insights/what-do-you-know-should-we-train-digital-natives-differently

 

学習に関して広まっている誤った考え方についての記事:

学習スタイルの神話(learning style myth)

70:20:10の法則はウソ?

世代間の異なりについてのステレオタイプ

人は読んだことの10パーセントしか覚えていない?

スマイルシート(研修後のアンケート)の有効性

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『「脳に基づく(brain-based …)」学習は、事実というより虚構である

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